このビンテージの革が一番良いのではないかと思い、革のカスタム注文を
致しました。やはりエンジニアはシンプルなデザインの為、他社様のそれと
同じに様になってしまう可能性があったので革については注意致しました。
この木型の作成も考えましたが、これはあまりにも癖があり過ぎると思い今回は
見送りました。
このエンジニアはおそらく40年代後期から50年代初期頃の物で馬革製だと思います。
厚い甲部の革にはうっすらと顔料が噴かれ、踵部と筒部は薄く柔らかめの革に
厚めの顔料が盛ってあります。(踵部と筒部の革は型押しや表面加工もされている
かも知れません。)
馬革は臀部以外は柔らかい為、貴重で丈夫な臀部は力が掛かる甲部、そして
型崩れ防止のサポートが入る踵部とあまり酷使されない筒部は、柔らかい部分の
厚い顔料を使った革が用いられたのだと思います。
さすがの物量を誇っていた戦後アメリカでも合理的な利用をしていた事が
確認出来ます。
また外底と中底には釘が露出していてO'Sullivanのラバーハーフソールが
釘とステッチで装着されています。ブラックラピド製法
(グッドイヤー・マッケイ製法)が用いられている様です。
それから甲部中央にはクリンプがくっきりと入っていて、あまり着用
されていなかった事が分かります。(アメリカのエンジニア愛好家では
Toe Trackと呼んでいる様です。しかしこれは専門的な呼び方ではない様です。)
このエンジニアの主だった特徴は以上ですが、この当時のある程度廉価版かも
知れなかったアメリカンブーツを垣間見る事が出来ます。
次回はクラフトライトのエンジニアを紹介させて頂きたいと思います。
40年代後期から50年代初期頃のエンジニアブーツ
クリンプ
馬革表面顔料
ブラックラピド製法
ブラックラピド製法 釘打ち(ネール)
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