2017年10月1日日曜日

ビンテージとクラフトライト馬革エンジニアブーツの経年変化の相違点

 馬革の一番と二番目に硬い部分で製作した小社のエンジニアブーツ。ほんの少し前までは世界でたった二社だけだった馬革コードバンのタンナーのうちの一社の一番硬いところと、そしてまた同じ兵庫県にある他のタンナーの馬革の二番目に硬いところを使用しました。
 完成した時期は米国の大手カジュアルウェアブランドの影響もあり米国からも色々な質問を頂戴致しました。その中には発売時から既に経年変化を優先していらっしゃる方も少なからずおられました。それは当時の米国のオリジナルのブーツの再現を期待しておられ早急の変化を期待されていたからの様ですが、70年近くの歳月等を経て変化しているものに対してはまだ何とも正確な返答は出来ず仕舞いでした。なりより全く以て無理だと思います。

 しかしながら今回ある程度の長い時間、色々な日常生活の場面での着用をしてきた中での現在の状態を見て頂けたらと思いました。蛇足ながら前述の状態に近付ける為にヤスリ等で手を入れたり故意に物理的な力を掛けたりする事は全くしていません。私自身の考えとしては作為的なのはとても残念だと思います。実際は未だにオイルアップもしていません。大体の変化は今迄多くのレザーを取り扱ってきた革問屋さんとのお話や試作品の着用である程度の事は予想出来ていました。それに日常生活の中の使用を加えてゆき主にアスファルト、コンクリート、砂利道を歩行し、そういった階段の昇降、着席や車の運転中の着用の中で曲がる動作や小さな衝撃、ジーンズ等硬めな衣類の摩擦そして着用後のクリーンアップのブラシの圧などが主になりました。また時として大きな問題でもありなるべくなら避けて頂きたい汗や雨中の行動もありました。
 経年変化については今後も機会がある度にこちらでお伝えさせて頂きたく思っております。
 尚画像の色調整やフラッシュ使用も致しておりませんが多少の色の誤差があると思います。ご容赦お願い致します。



クラフトライト馬革エンジニアブーツ(未使用と使用中品)




馬革特有のシボを出来るだけ避けてパターンカットして頂いた爪先と甲部(VAMP)も綺麗に経年しクリンピングも残っておりかなり強い圧が掛かるその部分の効果も一目瞭然です。




顔料を当てがった踵と筒部(COUNTER部とSHAFT部)程良く経年してきています。

内側も革ではなくベジタブルタンニンの染料のにおいがまだ強く残っています。

金属の中では変形しやすい鉄製金メッキの上下両バックルも経年しているだけで

良い具合です。


(2017年12月16日追加)

(2017年12月16日追加)

一番摩滅するヒールの柄はかなりみえなくなりました。デッドストックの米国製キャッツパウを使用しましたが不都合な点は今迄ありませんでした。

ソール部分の指の付け根後方は摩耗してきましたが全く柔らかくなっていません。かなり良質の牛革ベンズレザーです。



1951年の米国デパート通販カタログから
(2017年12月16日追加)

1951年の米国デパート通販カタログから
(2017年12月16日追加)